あとで考えます

ブログでやれ的な話

エビストで再び問われるオンラインとリアルの違いについて、考えてみました。

1月31日より8/pLanet!!待望の新曲「Shout Out」がアプリ内で公開された我らが8 beat Story♪ですが、2021年に突入して1ヶ月、すでに2つの対照的なイベントの開催が発表されています。

 

2021.02.22 オンライン限定イベント「On Your Mark.」

2021.03.07 リアル会場限定イベント「This is a "TRILL STORY”.」

 

これまで新型コロナウイルス感染拡大防止のガイドラインに沿った形での現地会場での当日公演と有料でのディレイ配信の併用でイベントを開催してきたエビストですが、今回はそれぞれ1つの方法に絞られています。

 

会場・出演者のスケジュールやキャパシティの問題、所属事務所の現在の情勢に対する方針の違いなど、イベントの開催をオンラインに限定する理由については様々考えられるところですが、過去に現地+配信という形式で展開していたにも関わらず、現地開催に限定することは正直な感想を言えば大変意外でした。

しかし、配信も併用しなければ観客の需要がキャパシティに収まらないような大規模コンテンツならいざ知らず、中小規模のコンテンツではディレイとはいえ配信を選択肢に用意した場合、満足な収益の現地開催が継続可能なのか、リアルタイムな体験の共有が今後も実現できるのか、長期的に見た判断が必要なタイミングになっており、ここで今一度運営・観客ともにリアル開催の意味を考える側面もあるように感じます。

(実際、私自身が遠征不要な距離感でありながらクリスマスイベントは配信を選択し、今後も同様の選択をする機会は増えると思いました)

 

そのようなメタ的な事情を考えると厳しい現実に気が滅入ってしまうところですが、エビストの物語性に絶大な信頼を寄せるオタクなりに、このイベントがここまで公開されている設定や物語の延長線上でどのような意味を持つのか、考えてみたいと思います。

 

1.3つのユニットの特徴

8 beat Story♪には現在、3つのユニットが存在します。単にトップを賭けて競い合うライバル同士ではなく、それぞれが異なるバックボーンとスタンスで2031年2032年の近未来で活動しています。

まずは各ユニットとそのライブイベントでの(オタクが見て感じた)見せ方の方向性について、振り返りたいと思います。

 

・8/pLanet!!

作品の顔であるメインユニットで、唯一我々「人間側」のユニット。

キャストがキャラクターに寄せた衣装で「キャストとして」ステージに立つ、従来型の二人三脚系2次元アイドルユニット。

ジャンルのファン層にとって最も親しみやすい形式であると共に、作中の彼女達が「データ化してバーチャル空間でライブを行う人間」という設定のため、ビジュアルがキャラクター化した人間(キャスト)でのライブを意識しているとオタクは深読みしています。

 

・2_wEi

肉体を持ち現実(作中におけるバーチャル空間の外、の意)で活動可能なアンドロイド姉妹のユニット。その出自からかつては人間への復讐を考えていたが、様々な経験から純粋に「歌う」という目的に辿り着く。

エビストならではのステージ上で一切、演者の素の姿を見せず「キャラクターとしてライブを行う」ユニットだが、その一方で既製品をアレンジした衣装を初めビジュアルを敢えてキャラクターに寄せていないのが特徴。

これは作中におけるType_Z以降のアンドロイドが「元々画面の向こう側にいたバーチャルな存在が肉体を得てリアル(現実)に侵出する」という背景があり、それがあくまでキャラクターでありながら現実的なビジュアルという一見正反対の要素に表れていると考えられます(オタクの妄言)。

 

・B.A.C

Motherに逆らい表舞台から消えた2_wEiに代わるかのように登場した新たなアンドロイドユニット。Motherの目的である「音のない世界」実現のためにバーチャル空間でのライブバトル・現実世界双方で暗躍する。

2_wEi同様、ステージ上ではキャラクターとして振る舞う一方、作中のキャラクターに近い独特の衣装を身に纏っている。作中でもB.A.Cは現実世界に現れた際に「変な格好」と言われており、バーチャル・リアルともに現実的ではないビジュアルのまま行動していることを反映しているのではないかと、オタクは考えます。

 

2.イベントの意味

今回、イベントを開催するのはアンドロイド側のユニットであるB.A.Cと2_wEiです。それぞれオンライン、感染防止対策のガイドラインに沿った「制限のある」リアルライブという形ですが、元はといえば新型コロナウイルスが原因で選択された形式だと思います。それぞれ開催手段を絞った本当の理由はわかりませんが、そういった「本当の事情」を大っぴらに全面に出せない一方でキャラクターとしてのライブを行うにあたって、それぞれのライブ形式が物語上どのような意義があるのかについて、考えてみたいと思います。

 

・B.A.C 1st Online LIVE 「On Your Mark.」

2_wEiのライブに参戦した過去もあるB.A.Cですが、1st LIVEはオンライン限定開催となりました。ライブパートは30分と短いですが、現状3曲しかないユニットですので、尺としては順当ではないかと思います(また、配信形式でのライブとして実は妥当なボリュームではないかとエビストの過去の配信ライブを見て感じました)。

作中でのB.A.Cは現在、その目的を達成するための「信者」を増やす手段として、ライブバトルに参加しています。実際のライブでもある種過激な教義を説きながら圧倒的な実力で観客を魅了する姿が印象的でしたね。

B.A.Cは対戦要素を持つ配信フォーマット「ライブバトル」の生みの親であり支配者であるMotherの配下であり、作中世界において最も配信のフォーマットを活用し易い存在であるといえます。また、「信者」を増やすためにはより多くの人間へ呼び掛けることが必要であり、一定規模の人間を一箇所に集めるリアルイベントより適切な方法こそが、今回のオンラインでのライブ開催かと思います。

ある種、アウェイである2_wEiのリアルライブに出向いてきた形だったB.A.Cが開催するオンラインでのワンマンライブがどのようなものになるのか、楽しみですね。

 

・2_wEi Special LIVE 「This is a "TRILL STORY".」

エビストとしては2_wEi 2nd LIVE Final以来のリアル開催限定イベントです。

番外的なイベントとはいえ、過去にディレイ配信も含めた形式でのイベント出演もあった2_wEiが、何故今回はリアル限定となったのか、設定面から考えたいと思います。

2_wEiは元々、Motherの下でライブバトルや現実の芸能界に参戦し、人間の脅威となる存在でしたが、様々な経験からMotherから離反しました。その結果ライブバトルの参戦権を剥奪され、Motherの影響の強いあらゆる音楽メディアから締め出しを食らい、アンダーグラウンドで音楽活動を続けている状況です。

10月に開催された「ONLINE≠REAL」ではディレイ配信の際のエフェクト演出が話題となりましたが、華やかで作中でのライブバトルを思わせる8/pLanet!!の演出に対して、2_wEiのライブではノイズや、何かのデータと照合されるような演出がありました。

ここからはオタクの妄想ですが、前回は社会情勢にしょぼくれているオタクのために危険を冒してリアル・オンラインで歌を届けてくれた2_wEiですが、依然としてMotherに目をつけられている状況は変わらず、同じ手段は使えなくなったのではないでしょうか。その結果、開催されるのが「参加人数も限られ、発生などもできない制限されたリアルライブ」です。

また、先行して発売されるのが1st シングル「Keep it Trill」であり、このCDには死んだはずの「母」である虎牙優衣の名前もクレジットされています。

第1部で自由を見出した2_wEiの見せる「本物の物語」とはなんなのか、こちらも目が離せませんね。

 

 

3.Shout Out

こうして思う通りに何も出来なくなってしまった世の中。実際に昨年1月にハニプラが告知した2020年の活動は尽く実現することがありませんでした。

こんな状況の中で、「世界は間違っている」と急速に浸透した配信ライブという形式を活用して先導するB.A.C、世界に唾を吐きながら敢えてのリアルライブに拘る2_wEi。ハニプラが新曲で「それでもいつか待ち望んでいたにまた会おう」と歌うところに、3ユニットの個性が現れてると思います。

作品のストーリーは第2部に差し掛かる直前。歌う意味を全員が見出し、ようやく「8/pLanet!!」という名前を得た8人の前に立ちはだかるのは、ひなたと同じく「歌で戦う」ことを否定しながら全く別の主張で「音のない世界」を実現しようとするB.A.Cです。一足早く世界の危機が現実に訪れてしまいましたが、困難を乗り越えてエビストの物語を見届けていければと思います。