メモ:とりるすとーりー感想
3月の体感速度、2秒しかなかった。
ご無沙汰しております。
まさに激動という感じだった2020年度がついに終わります。
新型コロナウイルス流行に伴い様々な活動に制限がかかるようになって早一年強。
8 beat Story♪も予定通りライブイベントを実施することができず、それに付随する様々な展開が「事態の収束を待つ」ということになってしまいました。
そんな中、半ば苦肉の策的な形ではあったと思いますが、下記のような企画が生まれたことを思うと、(勿論「結果的に良かった」とは口が裂けても言えませんが)苦しいながらも充実した一年だったのではないかと思います。
・エビスト春のWeb運動会
・4周年記念リレー放送「想い出とこれから」
・Special Event「ONLINE ≠ REAL」リアル公演・ディレイ配信
・2_wEi・8/pLanet!! ライブ映像上映会
・Christmas Special Event & LIVE リアル公演・ディレイ配信
・8 beat Story♪ in ミクチャ
・B.A.C 1st Online LIVE「On Your Mark.」
そして2020年度最後のイベント「This is a "TRILL STORY".」が3月7日、横浜ベイホールで開催されました。
2_wEiのワンマンライブとしては昨年2月の2nd Final以来、あれからずっと異常事態が続いているということに改めて衝撃を受けます。今回、第2部のみの参加となりましたが、備忘録的な意味も込めて振り返っておきたいと思います。
set list
1. Start the War
2. Heroic
3. Inheaven
4. Pendulum
5. MIRЯOR
6. Numb
7. REGALIA
8. Heart 2 Heart
9. UNPLUG
10. Be Alive
11. Pain - pain
12. Keep it Trill
13. fiction
第一部とのセトリの違いはアルミとミントのソロ曲が入れ替えだった(曲位置も若干変更)点と13曲目のfiction(後述)の追加です。全席指定(起立化)や声出し禁止など、まだまだ元の状況には戻っていないことは痛感しながらも、昨年のイベントと比較すると随分「ライブ」の雰囲気が帰ってきたような印象がありました。
1st LIVE以来、客席からの声が会場の一体感を演出し続けてきた「Pain - pain」については、会場で声を出せない代わりに各自の収録した音声データの募集がなされており、個人的にはどんな形に着地するのか懐疑的でしたが、蓋を開けてみればプロのMIX技術によりまさに一年前の会場そのもののような空間が再現され、一瞬でもあの頃を取り戻すことが出来た気がして、本公演で一番純粋に感動した部分だったかもしれません。
音声データを提供してくれた会場に行けなかった人間の皆さんのためにも、是非ともあのパートは映像の公開を希望したいと思います。
一年前の2nd Finalでは最後に歌われた「Start the War」からスタートし、まさに一年越しに物語の続きが始まるかのようなセットリストでした。1stアルバムからの披露は僅か3曲でしたが、「初期の曲をやらない」という不満の声が小さいことも2_wEiの特徴のように思います。
勿論、楽曲の優劣という話ではなく、不可逆の物語性を重視したキャラクター・ユニットであるからこそ、その時々の立ち位置に相応しいセットリストになっているからだと思います(ニチアサオタク的に言えば、中・終盤に初期の派生フォームはあまり使わないのと同じ感じ)。実際、あれ以来本当にDespairが披露されることがないというのは結構驚きではありますが…。
さて、先月オンラインライブならではの演出でコロナ禍において歯止めの効かなくなった音楽・エンタテイメント業界の変化について「もはやリアルにもオンラインにも真の音楽は存在しない。古い価値観に縋るな、新しい音楽は我々が示す」と宣言したB.A.Cに対し、制約下とはいえ旧来のリアルライブでステージに立った2_wEiは「画面の向こうにも無音の理想郷にもお前の人生は存在しない」とその主張を真っ向から否定するようなMCを繰り出し、同コンテンツ内でバチバチの対立構図を展開してきました。
最近、同好会と部の対立が話題となっているラブライブ!スクールアイドルフェスティバルALL STARSでさえ、そのスタンスやアプローチに違いはあれど基本的に同じ光・同じ高みを目指して切磋琢磨するという枠組みが維持されている2次元アイドルというジャンルにおいて、「人類の音楽に対する脅威」という敵キャラが登場した時点でかなり異質な作品となっていた8 beat Story♪ですが、ここにきて同じ作品内のユニット同士でここまで互いを否定する強い主張を持った存在が並び立つことになるとは「アイドル学園系のド本命ゲー!」とか公式が言ってた頃には想像もつかないところに来てしまったな…という感じです。
尤も、これはアプリ内で展開されるストーリー本編ではないからこそできることだとは思いますし、双方の主張は一定の説得力がありつつそれぞれが別のベクトルでかなり極端なことを言っているのは確かなので、この争いにハニプラが参戦する必要もないのかな、と思います。個人的には元々「ヤバい思想」としてお出しする予定であったB.A.Cが社会情勢もあり想像以上に同調者を生みそうな状況に対して上手いことストッパーの役割を果たせる存在として2_wEiに白羽の矢が当たった部分もあるのではないかとも思います。
今回のイベントで特に強烈な印象を残したのは、なんといっても最後の「fiction」ではないでしょうか。
12曲目の「Keep it Trill」終了後、いつも通りそのままステージを後にする2_wEiと入れ替わるように用意されるスクリーン。この3年間を駆け抜けてきた2人を労い、たまにはこちらで幸せな夢を見てもいい、という虎牙優衣のナレーションが終わると、「fiction」が流れ始めます。恥ずかしながら会場では気付かなかったのですが、2_wEiの歌唱自体は会場で生で歌われており、しかし2人がステージに姿を見せることはなく、観客はただただ静かにスクリーンに映し出される存在しない3人の幸せな日々を見つめるだけの時間が流れていました。
仮に優衣が生きており、ボーカルソフトのアルミとミントが消されることもなかったとすれば、逆に2人はMotherに肉体を与えられることはなかったと思われるため、この3人の幸せな姿は現在の境遇だからこそ見ることができる「存在しない幸せな夢」以上のものにはならないということが、より切ない事実として存在し、会場はまさに葬式のような雰囲気になっていました。
個人的にこの「fiction」について、サイドストーリー第3章 第8話「fiction」に登場する「幸せな悪夢」と見せているものは非常に似ているものであるものの、その役割がミントを現実とのギャップを自覚させて追い詰めるものから、例え架空でも心を癒すものに変化しているように感じ、「コンクリート・レボルティオ」という作品の中で正義のために戦うロボット超人「アースちゃん」が与えられた「存在しない家族の夢を見ることが出来るようになる飴」のことを思い出しました。アンドロイドも「心」の安定のために事実と異なる内容の「夢」を見るのだろうかと考えつつ、「お前の人生を生きろ」と強いメッセージを飛ばしてくるライブ本編に対して、「戦い続ける現実」の一方でその心を癒す「fiction」があってもいい、という意味もあったのでないかと感じました。
ただただ推敲もない感想文となってしまいましたが、2020年度はコミックマーケットの中止を発端としたエビスト初のWebオンリーに参加し、初めての同人誌や初めての合同誌参加・初めてのSSなど非常に貴重な経験をさせていただきました。
2021年度につきましては20年度の試行錯誤の中、「動き方」みたいなものを多少なり見出した感のある8 beat Story♪を引き続き応援しながら、また何か妄文をしたためるなどしていければと思います。