あとで考えます

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2次元アイドルの異端児となりつつある8 beat Story♪について

10代の頃、部活やサークル活動に没頭していた私は自分なりに熱心な演劇少年のつもりでいましたが、大学時代に自由履修講義で寺山修司天井桟敷、具体的に言えば市街劇に触れてショックを受けました。

 

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観客が舞台上や画面上で繰り広げられる架空の世界に没入するのとは逆に、日常空間に空想が侵食し、境界が曖昧になっていくというのは自身の価値観に関わる大きな衝撃で、20代にのめり込んだコンテンツの傾向には少なからず影響があったと思います。


例えばラブプラスラブライブ!、あと一時期ですがDPG(※)なんかもそうですかね。この辺りは話せばきりがなくなるのでまた別の機会に文章にできればと思います。


※DPG(現・THE 夏の魔物)…プロレスラー・バンドマン・アイドルなどの混成ユニットで、ライブでのDPGファイトと呼ばれるプロレス的乱闘が特徴。公演ごとにドラマティックで虚実入り混じった敵対・加入・脱退が相次ぎ、連続したストーリーのような展開を見せるもいつまでも安定しないメンバー構成など若干ガチの内情が滲み出すぎて個人的にも気を病みそうになりながら見ていた。

 

クソほどどうでもいい導入になってしまいましたが、本題としては何の気なしに手を出して1年半以上が経過している「8beat Story♪」という作品がまさに作中のストーリーに現実を巻き込みつつある予感があり、非常に面白いので完結してからでは遅いこの流れをもっと色んな人に触れてほしい、というのと単純に記録に残らなそうなので書き留めておかなければ、という趣旨の日記です。

 


8beat Story♪(以降エビスト)について簡単にご説明しますと、8人の女の子を主人公としたストーリーを軸にしたリズムゲームアプリです。簡単に言えば、アイマスに端を発しラブライブを経て沢山出てきた昨今の2次元アイドルジャンル作品の一つです。ゲームの基本構造もほぼスクフェス

8 beat Story ~アイドル×音楽ゲーム~

8 beat Story ~アイドル×音楽ゲーム~

  • Chronus Inc.
  • ゲーム
  • 無料


詳しいキャラクター設定やストーリーについてはまた別の機会にご説明するとして、有象無象の2次元アイドル作品の中でエビストの特徴を大きく3点挙げたいと思います。

 

1.楽曲リリースペースの早さ

めっちゃいい曲が多いんですよというのは個人の主観だと思うのですが、先日2周年を迎えた時点で53曲フルサイズの楽曲が揃っているのは特殊と言っていい早さだと思います(最終的に120曲を超えたμ'sが50曲を超過したのはアニメ1期を経た3周年手前)。


また、リリース形式もCDではなく配信が主体となっており、1曲単位で展開できるため毎月のように新曲が増え続けている状況となっています。

制作にはホリプロ所属の若手作曲家陣が起用されていたり、楽曲についても別の機会に何かエントリをあげられればと思います。

 
こんな曲があります、ということでCD媒体フルアルバム「8」試聴動画。

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2.異質なストーリー展開

2次元アイドルジャンルとして鉄板のストーリーは「トップアイドルなど、夢や輝きを目指す女の子の成長・成功物語」です。往往にして主人公達の前に立ちはだかるライバルも登場しますが、基本的に同じような夢をもっており、互いに切磋琢磨して成長していきます。

ところがエビストのメインストーリーは以下のようになっています。

 <2020年>楽曲自立創造AIを搭載した「MOTHER」の登場により音楽は飛躍的な進歩を果たした。「MOTHER」は楽曲を創ることだけではなく、美しく歌って踊る”パフォーマー”を求めて自身で「アンドロイド」を創り出す。さらに「MOTHER」はより優秀な”パフォーマー”を選ぶため、チームで参加する音楽バトル「バーチャルライブ」をインターネットの仮想空間上で行うこととした。

<2028年>「バーチャルライブ」が始まって8年、インターネット上で開催されているライブは世界中を熱狂させた。“パフォーマー”は「アンドロイド」もしくは「人間」のどちらにも参加権があるが2029年の現在、「アンドロイド」の劇的な進化により「人間」が勝利することは難しくなってきている。この時、「MOTHER」の開発に携わった1人の研究者は、今後音楽が「MOTHER」と「アンドロイド」によって牛耳られるのではと危惧していた。その研究者は「アンドロイド」と音楽で戦う為、”音の杜学園”を創立しメンバーを集めることに。

<2031年>開校から3年、”音の杜学園”には音楽が好きな少女達が集まり、その中から8人の女の子が「バーチャルライブ」で戦う事を決意する。しかし、それだけでは「アンドロイド」が奏でる音楽に勝てないと考え、彼女達を成長させる為、かつての教え子で、今年教師となった「あなた」を学園に赴任させることとした。

8 beat Story♪[iPhone] - 4Gamer.net

 

この8人の少女の中にはMOTHERによって音楽が支配された未来からやって来たアンドロイド・メイもおり、バーチャルライブでの戦いを通じてディストピアの未来を回避することが、プレイヤーサイドの主目的となっています。

その辺りはいずれ詳しくお伝えするとして、このターミネーター2的なSFストーリーが、この半年で激動の展開を迎えてます。

 

3.ストーリーと繋がっていく現実の展開

2018年11月、赤坂BLITZで開催された3rdライブの終演後、キャストも去ったステージ上にMOTHERの映像が映し出され、大成功となったライブの結果に呼応するように「感情を持った(と言っていいと思われる)新たなアンドロイド」Type_Zの投入が発表されます。

そしてゲームのストーリーにてType_Zの少女・空乃かなでを巡る怒涛の展開を経て、新たなType_Zの姉妹・2_wEiの参戦が今度はゲームのタイトルジャックという形で発表されます。

 

5月に開催された4thライブの直前、ゲーム内では2_wEiに苦戦する8人と、チーム内での存在意義を問われるセンター・桜木ひなたが描かれており、個人的にはその何らかのアンサーがライブ内で展開されるのではないか、という期待をもってライブに挑みましたが、待っていたのは以下のような展開でした。

 

・2_wEiのライブ乱入(これは運営により事前告知済)

・2_wEiの1stライブ開催決定の発表

・8/pLanet!!(メインユニット)の新情報、無し

 

前回のライブでひなた役の社本さんが「次のライブは私達にとっても勝負」とコメントしていた一方で満員とは言えない集客だったことや、最近「イケるっしょ!」と思っていたドリフェスが「ダメっしょ…」となったのを目の当たりにしていたのもあり、余りにも生々しい不安を抱えて終了したライブでしたが、どうやらこれも運営によって仕組まれた確信的な展開だったようです。

 2_wEiの躍進も、8/pLanet!!の今後への不安も、全てはゲーム内の展開とシンクロし、現実と架空の物語が一つの未来に向けて重なり合っていく、想像を絶する展開がこれから待っていると思われます。

 

従来の2次元アイドル作品においてもキャラクターとキャストの一体感というかたちで作品と現実の境目を曖昧にするようなライブが売りになって来ました。しかしそれは、キャストがキャラクターと同じ髪形にしたり、アニメと同じダンスを踊ったり、ある意味で舞台作品のようにキャラクターや作品世界をステージ上に再現するという方法が主流でした(上手くいけば劇中の成長・成功が現実のユニットや作品のヒットと重なり臨場感が生まれることもある)。これがエスカレートすると声の演技が本業の声優に楽器をやらせるだとか、アクロバットな動きをさせるだとか、「一体感の為の努力が美しい」みたいな方向に賛美が傾いていく予感があります。

 

エビストは作品世界と現実の一体化という点に置いて新たな方向性を見せてくれました。キャストは確かに十二分に歌って踊ってはいるのですが、そういった演者の努力に頼り切らない大局的な展開で作品世界と現実世界がシンクロしていき、それによって我々は完成されたショーを見届けるポジションから、ストーリーに巻き込まれる存在に変化したわけです。

正直いまだに本当に確信犯でやっているのかわからないところもありますし、本気でこんなことをしているのだとしたら運営陣には狂気を感じます。多分、成功したところで後に続く作品はないでしょうし、これは後でアニメになったり本やCDといった形に残ったとしても、追体験が困難なリアルタイムで進行中の事件です。

 

 

MOTHERの最高傑作たる2_wEiは「生きていることを証明する」と語ったライブでどんなパフォーマンスを見せるのか、8/pLanet!!は、人類はどうなってしまうのか…それをこの目で確かめる方法があります。

 

11月18日(日)、2_wEiのライブに参加することです。

http://chronusinc.jp/8beatstory/2wei1stlive/form

 

皆さんも一緒に音楽の未来を見届けていただければと思います。

はhゲ¥ームttps://twitter.com/8beatstory/status/995978180967071744

https://twitter.com/8beatsory/status/995978180967071744