あとで考えます

ブログでやれ的な話

B.A.Cがもたらす福音について(21.2.28追記有)

B.A.C 1st Online LIVE 「On Your Mark.」、皆さんもうご覧になられましたか?

私は感想を書かねばならんと思ってアーカイブを再生する度に見入ってしまって、気が付けば公式ダイジェスト声優グランプリのレビュー記事まで上がっていて、もはや自分が語ることもないのではないかと思いつつ、自身の体験の記録として残しておこうと思います。

 

完全ネタバレになるので、ネタバレ無しに見たいという方はこちらのリンクからまだアーカイブを見ることができますので、是非是非ご覧ください。

 

B.A.C 1st Online LIVE 「On Your Mark.」詳細ページ

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さて、今回のオンラインイベントですが、事前の告知通りキャストによる生配信でのトークパートと、事前収録によるライブパートという構成になっていました。トークパートは前半30分との予告でしたが、CD発売などの告知の関係もあり、ライブパート前後に配置されていました。後述しますがこの構成が結果的に安全弁的な役割を果たしていたなとしみじみ感じています。

トークについてはハッシュタグへの投稿やグッズの紹介がメインとなっていましたが、流石エビスト内でもキャストの人気・キャリア的にはトップクラスのユニットだけあり、番組としてのまとまりはかなり安定していたと思います。詳細な内容については割愛させていただきます。

 

 

さて、トークパートが終了しいよいよライブパートが始まります。

前回前々回とこのライブについて色々考えてきましたが、率直な感想としては想定を超えた・想定し得なかった方向でのライブとなりました。

 

冒頭、まさかの実写映像(ライブも実写ではありますが。。。)からスタートします。

新型コロナウイルス禍、現代の渋谷。喧騒の中を一人の少女が歩いています。身に付けたヘッドホンからは8 beat Story♪のメインユニットである8/pLanet!!の「Precious Notes」が流れています。

彼女が街中を彷徨ううちに迷い込んでしまったのがB.A.Cの研究室だった、というのが今回のオンラインライブのコンセプトのようです。

 

エビストのアンドロイド側ユニットはライブについて「我々の住む現実」と地続きである、ということを強く意識して演出されています。オンライン限定で開催するにあたっても「今の日本」を強く感じる映像から導入することで、近未来(2032年)という設定を取っ払ってでも物語の当事者として見てほしい、という意図を感じます。

 

渋谷という街が舞台となっているのは、単純に誰もが知っている光景だからとか、運営会社であるGMOのお膝元だから、作中でも背景イラストや設定上で渋谷や近隣エリアが登場するからなど、様々な理由があると思います。

超大型コンテンツであるラブライブ!シリーズの最新作のPVでも渋谷の街が描かれており、偶然とはいえ結果的に「渋谷から今の音楽を否定する」という導入になったのもなかなか尖った印象に繋がっていると思います。


【試聴動画】Liella! アニメーションMV付きデビューシングル「始まりは君の空」

 

導入映像が終わるとともにライブがスタートします。

会場はまさかのZepp DiverCity TOKYOですが、最初から客入れを想定していないため、三角形に組んだトラスの内側に3人が立ち、足元にはスモークが炊かれているという「ライブのオンライン配信」ではあまり見ない、配信前提のレイアウト。後述するMCでも触れられますが、「あくまでリアルの代替物としてのオンライン」という虚しさから一歩進んだようにも感じて個人的には好印象でした。

 

Silent World、UTOPIAと楽曲が続きます。元々エビストのライブ映像は映像としてのかっこよさを重視して時には演者の顔が見えないカットが入ったりするのですが、今回は最初から客入れ無し・編集前提ということで従来のライブ映像では中々見れないようなアングルやカット割り・演出が多用されており、単純にPVとしても見応えがあるもになっています。

この2曲のタイトルは印象は異なるものの、どちらもB.A.Cが目指す未来の姿を指しています。誰も歌わない、話さない、笑わない、だけどどこか幸せそうな世界。アプリ上のストーリーはまだ僅かですが、2度のライブ出演を通じてその解像度が上がっていくことに若干の恐怖を覚えます。

 

 

2曲歌ったところでMCが入ります。当然、キャストではなくあくまでキャラクターとしてのMCです。構成としては2_wEi 2nd Finalに参戦した時同様、各キャラの自己紹介とアモル様の説法といった感じになっていますが、今回は客席の声もなく、画面の向こうから真っ直ぐ自分の目を見つめて語りかけてくる形のため、より危険度が高いものになっています。MC中のBGM、怖すぎません?

 

クゥエルは愛、ベルは友情というように「善」とされる概念を歪み切った形でこちらに向けてきてくれます。クゥエルは今をときめく楠木ともりにこんなシチュエーションボイスみたいなセリフを長々と話させていいんだ、という一部性癖の方にはたまらないパートを本人の顔のお芝居込みで楽しめますので、彼女のファンという方はこれのために3500円払っても損はないかと思います。個人的には本人のキャラクターや演じてきた役柄とかなり違う印象なのですが、「確かにこの人はすごいな、売れるよな…」と感服しました。

ベルも生身の妙齢の女性にやらせるのどうなの?という役柄を見事に演じ切っていますし、「いつの間にか自分が悪いことになって恫喝されながら、優しいので2度とやらないという約束で許してもらえる」というだいぶ解像度の高い洗脳性のある暴力(割とDVの手口だと思う)を堪能することができますよ。「不法侵入」を覚えたてっぽいところだけは可愛いです。

 

そして問題のアモル様のMCです。

前回は「人気がないとサービス終了するコンテンツ」を話題に出しながら世の中の不平等さを訴えていましたが、今回はこの1年身を以て実感したコロナ禍でのコンテンツの格差やイベントのオンライン開催の歪さについて、コロナという名前は出さないもののかなり辛辣に言及していました。下記に簡単に要約します。

 

・音楽は利益至上主義の欲深い産業と化し、幸せなものでは無くなった。

・財力の有無がエンターテイメントの継続に与える格差を感じているのではないか。

・弱者は赤字覚悟で客席を減らしてまでも小さなステージに必死に縋っている。

・強者は「オンラインライブ」という新たな音楽の形を生み出し勢力を拡大している。

・しかしオンラインライブも、結局はリアルへの思いを募らせるばかりで不完全だ。

・こんな音楽が本当に幸せだろうか?

 

8 beat Story♪は正直なところ有名コンテンツにはなっていないものの、5年近い月日を積み重ねてきたコンテンツです。「アイドル学園系のド本命」という初期のキャッチコピー通り、そういった作品全体が好きなファンも多いですし、ラブライブという成功者の背中を追って生まれてきた同世代のアイドルコンテンツが夢半ばで消えていくのを見てきました。2020年度は大手コンテンツすら、情勢に翻弄される姿を目の当たりにしました。

そういった中で、エビスト自身も含めて出来ることを必死でやってきたこの1年に対して「それが本当に幸せな音楽と言えるのか?」というストレートな問い掛け。

みんな「感動」という一瞬の感情の動きのために苦しみすぎていないか?そのギャップをカタルシスのように感じることで本質的な苦しみを誤魔化して悪循環から抜け出せないんじゃないか?というのはアプリ内でステージに立つ側の人間への問い掛けとして登場した問答ですが、「これが正しいとは思わないが、否定し得るだけの確固たる答えが自分の中にあるかと聞かれたら口を噤んでしまう」という、マジで宗教とか自己啓発セミナー的な精神状態に一方的に追い込まれていきそうになります。

そしてここで畳み掛けるように、急にエコーの掛かった声で呼びかけてくるのです。

 

・目を覚ませ

・こんな不平等な世界、幸せなはずがないんだ

・こんな残酷な世界、正常なはずがないんだ

・B.A.Cがこの世界を壊し、新たな世界を作ってやる

・私が命を賭して、音楽の未来を革命を起こそう。

・だから君はついてこい。

・音楽が好きな君にはその資格がある。その使命がある。

 

そしてB.A.Cで最も攻撃的な楽曲であるPious Bulletsが始まります。

この曲のみ、ジャケットでキャラクターが銃を構えていたり、暴力的な歌詞でその立ち位置が少し謎ではあったのですが、今回のMCを受けて革命による暴力を扇動する曲なのだという指摘を見て、合点がいきました。B.A.Cから全ての人間に向けた曲というよりは、B.A.Cに感化された人間が掲げる赤旗のような曲なんですね。大丈夫か?

楽曲自体は火薬が炸裂したりサイレンで真っ赤になったりカメラがグルンと回ったりマントをバサっとやったら暗転したり、演出がとにかくかっこいいので大好きです。

 

曲が終わると再びMCが始まります。

誰もが予感している「今までとは違う時代」の到来と、一方で捨てきれないこれまでの音楽への未練。しかし、幸せな音楽はもうリアルにもオンラインにも無いのだから、そんなものに縋るのはやめろ。会えなくても、声が出せなくても、B.A.Cの示す新たな音楽が君を幸せにする、と。

最後に披露されるのは新曲、Blessing After Cataclysm(破壊による改革の後の祝福)。B.A.Cというユニット名は新型アンドロイドType_IDとして生まれてアルファベット順に名付けられた3人の名前の頭文字ということでしたが、誕生から1年経ったここにきて非常に象徴的な曲名の略称にも繋がってくるという「マジでどこまで先に決めてたの」という見事なはまり方。歌詞も結構思わせぶりだったり「解析してくれ」みたいなパートもあるので、思考が持っていかれます。あとしれっと室屋光一郎ストリングス。

 

最後の楽曲が終わるとキャラクターの姿はなく、ドラマパートに戻ります。冒頭でB.A.Cの研究室に迷い込んだ少女が目を覚ますと、そこは無音の世界。側に落ちている壊れたヘッドホンを残したまま、去っていくところで映像は終了します。

 

 

もはやライブの配信というよりは一本の映像作品として完成しているのですが、ライブとエンドロールの間に再びスタジオでのキャストのトークパートに戻ります。これはCD発売の告知の意味もあると思いますが、極端な話映像で告知すればいいわけで、素のキャストにわざわざ紹介させたのは視聴者を現実に引き戻す重要な役割があったのではないかとさえ思います(実際かなりホッとしました)。

「喋りのプロである声優に見ている人間を洗脳するような台詞を言わせたらどうなるか」という運営サイドの好奇心から生まれた実験映像のような、真に迫った気味の悪さがMCパートにはありました。有名コンテンツだったら、誰でも見れる無料配信だったら割と洒落にならない映像なので、「どういうコンテンツのどういう意図で作られた映像なのか」理解した上でお金を払って見る、という形式だったことは正解だと思いますし、本当に広く勧めていいものなのかもわかりません。

 

さておき、昨年キャストが発表されたときは「このキャストじゃライブとかはやらないんだろうな」と思っていたわけですが、2_wEiのライブへの参戦が異例だっただけで、元からこういう運用のユニットとして企画されたのではないかという気さえしてきます。世の中がこんなことになる遥か前から「バーチャル、リアルで輝く音楽」を掲げていたエビスト、本人たちも苦しみ悩みながら進んでいる様子が伝わってくるものの、最初期から抱いていた「見せたいもの」が伝わり易いよう世の中がどんどんと変容していくのは興味深いですし、運営の言葉を信じるのであればライブ感ではなくμ'sが活動を止めたあの春の時点でこういうユニットを出すことは想定していたというのもなんかもう純粋に怖い。

 

個人的にはB.A.Cの観客への呼びかけと目指す姿のギャップが理解しきれず、劇場版仮面ライダーゼロワンのエスのような「目指す世界に邪魔な分子を効率よく排除するための梯子外し前提の扇動」と解釈していたのですが、今回のMCを聞いていてこいつら本気で人間の幸せのために今の音楽という競争システムをぶっ壊そうとしてるんだなと納得できたのがとても良かったです。

勿論B.A.Cの主張は作品自体の世の中へのメッセージというわけではなく、来月頭には逆にリアルでのライブで世の中に抵抗する2_wEiの公演も控えており、作品内で勢力ごとのイデオロギーをしっかり構築してドラマを描こうとしているのを感じます。

今後のストーリーの中でMotherやB.A.Cが人間や2_wEiと和解する日が来るのかはわかりませんが、エビストがこの先どうなったとしても、それとは関係無しに世の中が変わってしまうことは避けられないでしょうし、その時我々の心の中にB.A.Cの音楽が残っていれば、それはもうアモル様の「勝ち」なのではないでしょうか。

 

 

余談ですが昨夏に同人誌を出しまして、エビストの作中の出来事を時系列順に並べて考えたり、公開された設定をもとにみんなどの辺に住んでるの?みたいなことをやったのですが、なんと今回実写で「ロケ地」という聖地が誕生しました。そんなことドラマとか特撮でもないのにあるんだ、という衝撃がありますが、折角なのでサクッと触れておきたいと思います。

 

結論から言うと、今回は渋谷スクランブル交差点をスタート地点に、ミヤシタパーク(旧・宮下公園)近辺で撮影されています。ミヤシタパーク自体は歩道橋のシーンの背景に映っていますが割と特殊な建造物なのでちょっと近未来感が出ていいかな、と思います。

 

偶然にも以前現地に行った時にこの明治通り渋谷区渋谷一丁目歩道橋を撮影していました。結構幅が広いため、撮影にも向いているかもしれません。

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歩道橋の後に通るトンネルはミヤシタパークの裏側にあるのんべい横町から神宮通りに出るための線路下通路にもなっている「渋谷ハチ公口自転車駐輪場」です。様々な作品で使われている割と有名なロケ地で、先日も何かの映像で見かけたのですが作品を失念してしまいました。

 

少女はおそらく神宮通りを真っ直ぐ進み、ファイヤー通りには進まずそのまま再度ガード下を通り明治通りに合流する道を選びます。このガード下については背景に映り込んだスタバとファミマの看板から確実かと思いますが、問題はこの後です。

ガード下の途中から、エフェクトがかかるとともに何らかのフェンス横を歩いている様子に映像が切り替わるのですが、ここ以降の詳細がわかりません。何らかのお知らせの掲示物があり、現地でウロウロしていれば見つけられるかもしれませんが。。。

ということで肝心のB.A.Cの研究室についても詳細は確認できませんでした。上部が縦長タイルで側面が打ちっぱなしの何らかのビルの地下駐車場の入り口と思われ、奥に進んで撮影しているので関連会社の施設ではないかと思うのですが、ちょっとわからないですね。私有地の可能性もありますので発見した際もご注意ください。

 

ここまでの情報を想定されるルートともに使い回しの地図にはめ込んで見ました。

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国土地理院タイル

https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html

 

スクランブル交差点を三千里薬局方面に渡ったら右折して線路下を通る

宮益坂下交差点を左折して明治通りを直進

③宮下公園交差点手前の歩道橋を上り都会の喧騒を眺める

④ミヤシタパーク内に入り、渋谷駅方面に引き返す

⑤ミヤシタパークの端から地上に降りたら再びUターンしてのんべい横丁を直進

⑥突き当たりに着いたら左手にあるトンネルを通って線路下を潜る

⑦神宮通りに出たら右折して直進

⑧左手にシダックスが見えるY字路まできたら右折しガード下を通る

⑨何らかの不思議な力が働きB.A.Cの研究室に辿り着く

 

新型コロナウイルス感染対策をしっかりしながら、Precious Notesを聴きつつお試しください。

 

【2020.02.28 追記】

先日偶然にも原宿方面に用事がありましたので、前述のルートを歩いてみました。

B.A.C 1st EP「BIBLION」ちょうど1周聞くくらいの時間で各地を回れました。

 

スクランブル交差点

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渋谷区渋谷一丁目歩道橋

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歩道橋から見る明治通り(表参道方面)

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歩道橋から見たミヤシタパーク

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渋谷ハチ公口自転車駐輪場

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渋谷神南郵便局前・宮下公園交差点間JR線高架下

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…このカットのあとのフェンス前がどこにあるかわからない、と思っていたのですが、現地を見てみると「渋谷ハチ公口自転車駐輪場」横、「のんべい横丁」の線路側を背景に撮影したものだということがわかりました。トンネルを潜る前に左側を見ていただければ見つけられるかと思います。

ストリートビューですと少し前の昼間の写真だったので、ずいぶん印象が違っていました。やはり現場で検証するということは大切ですね…。

 

反対側は赤提灯だったりするので、上手いこと撮った感が…

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ただ、肝心のB.A.Cの研究室は結局わかりませんでした。比較的特徴的な建物ではあるんですが、本当に私有地なのかもしれません。

(念のためZepp Diver City近辺も探ってみましたが…情報お待ちしております)

エビストで再び問われるオンラインとリアルの違いについて、考えてみました。

1月31日より8/pLanet!!待望の新曲「Shout Out」がアプリ内で公開された我らが8 beat Story♪ですが、2021年に突入して1ヶ月、すでに2つの対照的なイベントの開催が発表されています。

 

2021.02.22 オンライン限定イベント「On Your Mark.」

2021.03.07 リアル会場限定イベント「This is a "TRILL STORY”.」

 

これまで新型コロナウイルス感染拡大防止のガイドラインに沿った形での現地会場での当日公演と有料でのディレイ配信の併用でイベントを開催してきたエビストですが、今回はそれぞれ1つの方法に絞られています。

 

会場・出演者のスケジュールやキャパシティの問題、所属事務所の現在の情勢に対する方針の違いなど、イベントの開催をオンラインに限定する理由については様々考えられるところですが、過去に現地+配信という形式で展開していたにも関わらず、現地開催に限定することは正直な感想を言えば大変意外でした。

しかし、配信も併用しなければ観客の需要がキャパシティに収まらないような大規模コンテンツならいざ知らず、中小規模のコンテンツではディレイとはいえ配信を選択肢に用意した場合、満足な収益の現地開催が継続可能なのか、リアルタイムな体験の共有が今後も実現できるのか、長期的に見た判断が必要なタイミングになっており、ここで今一度運営・観客ともにリアル開催の意味を考える側面もあるように感じます。

(実際、私自身が遠征不要な距離感でありながらクリスマスイベントは配信を選択し、今後も同様の選択をする機会は増えると思いました)

 

そのようなメタ的な事情を考えると厳しい現実に気が滅入ってしまうところですが、エビストの物語性に絶大な信頼を寄せるオタクなりに、このイベントがここまで公開されている設定や物語の延長線上でどのような意味を持つのか、考えてみたいと思います。

 

1.3つのユニットの特徴

8 beat Story♪には現在、3つのユニットが存在します。単にトップを賭けて競い合うライバル同士ではなく、それぞれが異なるバックボーンとスタンスで2031年2032年の近未来で活動しています。

まずは各ユニットとそのライブイベントでの(オタクが見て感じた)見せ方の方向性について、振り返りたいと思います。

 

・8/pLanet!!

作品の顔であるメインユニットで、唯一我々「人間側」のユニット。

キャストがキャラクターに寄せた衣装で「キャストとして」ステージに立つ、従来型の二人三脚系2次元アイドルユニット。

ジャンルのファン層にとって最も親しみやすい形式であると共に、作中の彼女達が「データ化してバーチャル空間でライブを行う人間」という設定のため、ビジュアルがキャラクター化した人間(キャスト)でのライブを意識しているとオタクは深読みしています。

 

・2_wEi

肉体を持ち現実(作中におけるバーチャル空間の外、の意)で活動可能なアンドロイド姉妹のユニット。その出自からかつては人間への復讐を考えていたが、様々な経験から純粋に「歌う」という目的に辿り着く。

エビストならではのステージ上で一切、演者の素の姿を見せず「キャラクターとしてライブを行う」ユニットだが、その一方で既製品をアレンジした衣装を初めビジュアルを敢えてキャラクターに寄せていないのが特徴。

これは作中におけるType_Z以降のアンドロイドが「元々画面の向こう側にいたバーチャルな存在が肉体を得てリアル(現実)に侵出する」という背景があり、それがあくまでキャラクターでありながら現実的なビジュアルという一見正反対の要素に表れていると考えられます(オタクの妄言)。

 

・B.A.C

Motherに逆らい表舞台から消えた2_wEiに代わるかのように登場した新たなアンドロイドユニット。Motherの目的である「音のない世界」実現のためにバーチャル空間でのライブバトル・現実世界双方で暗躍する。

2_wEi同様、ステージ上ではキャラクターとして振る舞う一方、作中のキャラクターに近い独特の衣装を身に纏っている。作中でもB.A.Cは現実世界に現れた際に「変な格好」と言われており、バーチャル・リアルともに現実的ではないビジュアルのまま行動していることを反映しているのではないかと、オタクは考えます。

 

2.イベントの意味

今回、イベントを開催するのはアンドロイド側のユニットであるB.A.Cと2_wEiです。それぞれオンライン、感染防止対策のガイドラインに沿った「制限のある」リアルライブという形ですが、元はといえば新型コロナウイルスが原因で選択された形式だと思います。それぞれ開催手段を絞った本当の理由はわかりませんが、そういった「本当の事情」を大っぴらに全面に出せない一方でキャラクターとしてのライブを行うにあたって、それぞれのライブ形式が物語上どのような意義があるのかについて、考えてみたいと思います。

 

・B.A.C 1st Online LIVE 「On Your Mark.」

2_wEiのライブに参戦した過去もあるB.A.Cですが、1st LIVEはオンライン限定開催となりました。ライブパートは30分と短いですが、現状3曲しかないユニットですので、尺としては順当ではないかと思います(また、配信形式でのライブとして実は妥当なボリュームではないかとエビストの過去の配信ライブを見て感じました)。

作中でのB.A.Cは現在、その目的を達成するための「信者」を増やす手段として、ライブバトルに参加しています。実際のライブでもある種過激な教義を説きながら圧倒的な実力で観客を魅了する姿が印象的でしたね。

B.A.Cは対戦要素を持つ配信フォーマット「ライブバトル」の生みの親であり支配者であるMotherの配下であり、作中世界において最も配信のフォーマットを活用し易い存在であるといえます。また、「信者」を増やすためにはより多くの人間へ呼び掛けることが必要であり、一定規模の人間を一箇所に集めるリアルイベントより適切な方法こそが、今回のオンラインでのライブ開催かと思います。

ある種、アウェイである2_wEiのリアルライブに出向いてきた形だったB.A.Cが開催するオンラインでのワンマンライブがどのようなものになるのか、楽しみですね。

 

・2_wEi Special LIVE 「This is a "TRILL STORY".」

エビストとしては2_wEi 2nd LIVE Final以来のリアル開催限定イベントです。

番外的なイベントとはいえ、過去にディレイ配信も含めた形式でのイベント出演もあった2_wEiが、何故今回はリアル限定となったのか、設定面から考えたいと思います。

2_wEiは元々、Motherの下でライブバトルや現実の芸能界に参戦し、人間の脅威となる存在でしたが、様々な経験からMotherから離反しました。その結果ライブバトルの参戦権を剥奪され、Motherの影響の強いあらゆる音楽メディアから締め出しを食らい、アンダーグラウンドで音楽活動を続けている状況です。

10月に開催された「ONLINE≠REAL」ではディレイ配信の際のエフェクト演出が話題となりましたが、華やかで作中でのライブバトルを思わせる8/pLanet!!の演出に対して、2_wEiのライブではノイズや、何かのデータと照合されるような演出がありました。

ここからはオタクの妄想ですが、前回は社会情勢にしょぼくれているオタクのために危険を冒してリアル・オンラインで歌を届けてくれた2_wEiですが、依然としてMotherに目をつけられている状況は変わらず、同じ手段は使えなくなったのではないでしょうか。その結果、開催されるのが「参加人数も限られ、発生などもできない制限されたリアルライブ」です。

また、先行して発売されるのが1st シングル「Keep it Trill」であり、このCDには死んだはずの「母」である虎牙優衣の名前もクレジットされています。

第1部で自由を見出した2_wEiの見せる「本物の物語」とはなんなのか、こちらも目が離せませんね。

 

 

3.Shout Out

こうして思う通りに何も出来なくなってしまった世の中。実際に昨年1月にハニプラが告知した2020年の活動は尽く実現することがありませんでした。

こんな状況の中で、「世界は間違っている」と急速に浸透した配信ライブという形式を活用して先導するB.A.C、世界に唾を吐きながら敢えてのリアルライブに拘る2_wEi。ハニプラが新曲で「それでもいつか待ち望んでいたにまた会おう」と歌うところに、3ユニットの個性が現れてると思います。

作品のストーリーは第2部に差し掛かる直前。歌う意味を全員が見出し、ようやく「8/pLanet!!」という名前を得た8人の前に立ちはだかるのは、ひなたと同じく「歌で戦う」ことを否定しながら全く別の主張で「音のない世界」を実現しようとするB.A.Cです。一足早く世界の危機が現実に訪れてしまいましたが、困難を乗り越えてエビストの物語を見届けていければと思います。

B.A.Cオンラインライブで「位置につく」ために

 新年明けましておめでとうございます。

年明けから半月弱、我らが8 beat Story♪は各ユニットに新情報を発表し、今年は想定外の疫病により身動きが取れなかった2020年のリベンジすっぞ!という意気込みを感じて嬉しいですね。

 

8/pLanet!!:1月 新曲発表

2_wEi:2月 1stシングル発売

 

そして。。。

 

 昨年1月11日に登場した第3のユニット、B.A.Cの1stオンラインライブが決まりました。

エビストとしては昨年2度、現地開催と有料でのディレイ配信でのイベントを実施しており、そこから一歩踏み込んで完全配信限定という形になりました。

ちょうど世の中では緊急事態宣言の再発令があり、リアルイベントが開催しづらい状況が戻ってきているため(それを受けての判断かもしれませんが)社会情勢に即したイベント形式であるとも言えます。

 

田中美海さん・菅沼千紗さん・楠木ともりさんという錚々たるキャストなので、今回初めてエビストのイベントへの参加を検討される方もいらっしゃるかと思いますので、想定されるイベントの構成と、コンテンツの特性による視聴前にお伝えしたい予備知識をお伝えし、判断材料としていただければと思います。

 

1.イベント構成について

今回のイベントはトークショー(30分程度)とLIVE(30分程度)であると内容が事前に明らかになっています。この構成は過去にエビストの行ったイベントと同様の内容ですので、8 beat Story♪としてのオンラインイベントのフォーマットになっていると考えられます。

 

トークショー(キャストによるクイズ・ゲームコーナー)

ライブの前段となるトークショーパート、過去にきちんと「トークショー」と銘打たれていたことはないので同じ内容になるかはわかりませんが、過去に行われたイベントでは、出演者が景品を賭けてキャラクターやストーリーとは無関係の「常識クイズ」や「ジェスチャーゲーム」といったゲームに挑戦する、というパートになっていました。正直、「虚無」と呼ばれることもある声優バラエティ全開の時間のため、目当てのキャストがいない場合なかなか苦行になる可能性もあります。

しかし、そこはWake Up, Girls!ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会アイドルマスターシャイニーカラーズといったビッグタイトルをくぐり抜けてきたメンバーですので、見応えのあるパートになることに期待しています。

エビストのオタクとしてもこの3人が揃っているところはライブも含めてまだ3回くらいしか見たことがないので割と未知数ですが……。

 

②LIVE(キャラクターによるライブコーナー)

イベントのメインパートとなるライブパートですが、8 beat Story♪のライブの特徴として「徹頭徹尾キャラクターとしてライブを行う」というものがあります。観客は8 beat Story♪という作品の物語の中の登場人物(モブ)として、キャラクターの行うライブに参加するという体でライブを楽しみます。

 

実際どんな様子なのかは、前回B.A.Cが登場したライブの影像をご覧下さい。

(5分37秒からB.A.C)


【視聴動画】8beatStory♪ 2_wEi 2nd LIVE Final 『Past 2 Present, Stand for the Future.』[Blu-ray]

 

キャストは登場から歌唱・MC、そして退場までキャラクターとして振る舞い、作品世界を表現します。そのため、ある程度作品知識が必要となってきます。

 

そこでB.A.Cまわりに絞って超簡潔に作品世界とキャラクターについてご説明させていただきます。

もう少し踏み込んだ内容についてはこことかここに以前書いたものをご覧下さい。

 

 

2.世界観などの予備知識

【作品の舞台】

舞台は2032年の東京。

人間と「アンドロイド」が仮想空間で鎬を削る「ライブバトル(アイカツの対戦みたいなやつ)」がエンターテイメントとして定着した世界。ライブバトル・アンドロイドの生みの親である人工知能「Mother」はライブバトルを通じて人間の音楽を淘汰し「音のない世界」の実現に向けて準備を進めていた。

人間側の新進気鋭のユニット・8/pLanet!!(ハニープラネット)を脅威と認識したMotherは「絶望」という負の感情をインストールした新型アンドロイド「Type_Z」のユニット・2_wEi(ツヴァイ)を差し向けるが、「心」に目覚めた2_wEiはMotherの管理下から離れ姿を消した。

計画の失敗を繰り返すMotherが新たに生み出した自身の分身とも言うべき最新型アンドロイドこそ、「Type_ID」ことB.A.C(バック)である。

 

圧倒的カリスマ性を備えたアモル、「愛」を軸に愚かな人間を籠絡するクゥエル、一見子供のような純粋さを見せるベルによる3人組だが、チームとしての連帯感はなく、Motherの目的である「音のない世界」実現のために行動する。人類の音楽を不必要なものと考えているが、教義を広めるためにライブバトル出場者、観客にそれぞれ下記のように呼びかけている。

 

・ライブバトル出演者に対して

圧倒的な力量差により敗北に追い込んだ上で、「一瞬の感情のために過酷な競争社会に身を置き、その苦しみから逃れるためにまた一時的な感動にすがる悪循環を繰り返す中毒患者」と一蹴した上で、自分達が君臨することでその舞台から救済する、と説く。

 

・観客に対して

自らも「音楽を愛する同士」と名乗った上で、音楽が人気の有無で捨てられるこの社会は不平等であり、B.A.Cこそがこの世界を破壊し、ともに新たな時代を切り開く存在であると説く。

 

 

今回のライブは初めての「配信限定」のライブとなり、B.A.Cの3人は「配信を見ている画面の向こうの人間」に向けてメッセージを送ってくることになるかと思います。それはきっと、これまでのライブで見た様々なMCとは違ったものとして見えると思います。

 

皆さんも、一緒に世界を変えましょう。

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ONLINE ≠ REALの話

君は見たか!? 8 beat Story♪ スペシャルイベント「ONLINE ≠ REAL」を!!
…ということで10月10日から30日にかけてリアル・オンラインで開催されたスペシャルイベントがひと段落したので、備忘録的にそのレポートです。
「ウィズコロナでのリアルイベントの状況」と「アフターコロナでのオンラインイベントの在り方」という感じのお話になるかと思います。
 


【1】これまでの経緯
2020年10月10日は元々、8/pLanet!!の6th LIVEが開催される予定になっていました。
どうして今回、このようなイベントが開催されることになったのか、まずはここまでの経緯を振り返ってみたいと思います。
 
2020.1.6 厚労省が「中国で発生した原因不明の肺炎」に注意喚起
2020.1.11 B.A.Cが登場
2020.1.14 WHOが新型コロナウイルスを確認
2020.1.16 日本国内で初の新型コロナウイルス感染者を確認
2020.1.26 8/pLanet!! 5th LIVE 振替公演 →10月10日の6th LIVE告知
2020.1.30 WHOが国際的な緊急事態を宣言
2020.2.3 クルーズ船が横浜港に入港
2020.2.13 日本国内で初の感染者死亡
2020.2.22 2_wEi 2nd LIVE Final
2020.2.26 政府によるイベント開催の中止・延期要請
2020.3.24 東京オリンピックの延期が決定
2020.4.7 緊急事態宣言(東京ほか7都道府県)
2020.4.16 緊急事態宣言(全国へ拡大)
2020.5.13 8 beat Story♪ 4周年
2020.5.25 緊急事態宣言完全解除
2020.5.31 8 beat Story♪ 4周年記念リレー放送初回
2020.7.24 8 beat Story♪ 4周年記念リレー放送最終回(第15回)
2020.8.15 8/pLanet!! 6th LIVE 中止発表
2020.9.18 Special Event「ONLINE ≠ REAL」開催決定
2020.10.10 Special Event「ONLINE ≠ REAL」リアルイベント開催
2020.10.28 Special Event「ONLINE ≠ REAL」ディレイ配信開始
新型コロナウイルス関連の時系列はNHK特設サイトを参考に記載
 
6th LIVEの開催は、1年前に開催されるはずだった5th LIVEの時点では決定していました…台風による中止・延期もあり、実際に私たちがその開催を知ったのは今年1月でしたが、当時は既に国内での感染事例も発生はしていたものの、感染拡大への危機感は低く、またその時点でもかなり先の予定だったこともあり、出演者・来場者共に次のライブ開催を喜んでいました。
また、この日は他にアルバムの制作が発表されるなど、劇中でも重要な意味が込められた2020年が特別な年になる期待感がありました。

…1ヶ月も経たず状況は悪化し、翌月2月後半に開催された2_wEiの2nd LIVE Finalは、かつての様式・価値観で開催された最後のライブイベントの一つとなってしまいました。
いよいよ今月発売となるライブBlu-rayの試聴動画では、今では考えられない人口密度や客席の歓声を見ることができます。決して快適ではなかったけれど妙な恋しさはありますね。

 


【視聴動画】8beatStory♪ 2_wEi 2nd LIVE Final 『Past 2 Present, Stand for the Future.』[Blu-ray]

 

こうして、2_wEiの物語は一先ず沢山の人間の前で歌うこのライブで無事ひと段落しましたし、B.A.Cも民衆の歓声の中で演説するという最高のお披露目を果たすことができました。
もし1週間でも開催が遅ければこの光景は実現できていなかったでしょうし、物語とリンクしたライブとして説得力に欠けた絵面になっていたことでしょう。

 

特別な年になると言われていた2020年も3ヶ月経った頃には現在に続く自粛の波に飲まれて、まるでB.A.Cが実現しようとしていた「音の無い世界」のようになってしまいました。
そんな中でいよいよ5年目に突入した8 beat Story♪がスタートした企画が「リレー放送」でした。ライブや朗読、お渡し会といった従来のリアルイベントが一切実施できない状況で、
キャスト一人一人をパーソナリティに各キャラクターやストーリーにスポットを当てて掘り下げていくという番組が通算15回に渡って展開し、キャラクター・ストーリーのファン達を大きく喜ばせることとなりました。同時に別枠でキャストによるASMR動画を収録・キャストファン向けに並行展開する辺り抜け目のなさを感じました(全て有料です)。

 

ウイルスの流行ということで世の中全体も夏の収束・状況改善に期待する向きがありましたが、叶うことなく8 beat Story♪も10月の6th LIVE中止を発表しました。
本来であればきっとこのライブの前後で進んでいたであろうストーリーも止まったまま・新曲も追加されない状況。これは今も変わっていません。
そんな中、運営が同日程・同会場で開催を発表したのがSpecial Event「ONLINE ≠ REAL」でした。

 


【REAL】
2020年10月10日 豊洲PIT

ここからは簡単にリアルイベントのレポートですが、2020年11月13日現在、このイベントの様子は映像で見ることができる(後述)ので、詳細は実際に見ていただいた方が早いと思います。
この日は台風こそ直撃しなかったものの、本降りの雨で逆にハニプラらしさを感じてしまいました。

 

イベントは3部構成でハニプラ(昼の部)、2_wEi、ハニプラ(夜の部)となっていました。自分は2部である2_wEi公演から参加。
チケットの半券に連絡先情報を書き込み、検温・手指の消毒をしながら入場しました。ドリンク代の支払いは無し。
会場いっぱいに椅子が並べられていましたが、座席番号が振られているのは3席置きという感じでしたので、会場全体の着席時キャパが1300ということを踏まえると来場者数は300〜400名と言ったところでしょうか。声も出せないため、後方から見ているとなんとも閑散としたイベントにも見え、辛いものがありました。


イベント自体は1時間で前半がゲーム(クイズ)コーナー、後半がライブという初期を思い出すイベント構成。チケット代は各回9,800円となかなか高額ではありますが、3,500円相当のTシャツが付いてくることを考慮するとこの状況において良心的な価格に収まっていると感じました。

本来行われるはずだったライブを思うともちろん、ボリュームに欠けるところはありますが、ハニプラについては現行メンバーでは初披露の曲も多く、また2_wEiもナンバリングでは無いライブということで比較的変則的なセットリストであったり、久々の現地参加のライブということもありとても楽しむことができました(個人的には昨年からの新メンバーである天野さん・山下さんの歌声が過去一番伸び伸びしているように感じ、感動しました…)。


また、2_wEiはこれまでのライブ同様、終始キャラクターとしてのステージングだったのですが、MCで現状の「声出し禁止」ルールに触れる一幕もあり、これが「タイムリーに自分たちに降りかかっている現実の出来事」のことを指しているようにも、「劇中でB.A.Cによる支配が進んだ世界」を指しているようも受け取れる内容で、その辺りの匙加減は相変わらず上手だなと感心してしまいました。
終幕後、まだまだ難しいことも多いけど、やっぱりリアルのイベントは楽しいなどと思っていると、その心を見透かすかのようにステージにレーザーで以下の文章が映し出されました。

 

 Real Life Real Live
  Exactly What It Is.

 


【ONLINE】
2020年10月28日

ディレイ配信とはいえ、リアルイベントから2週間以上経過してからの公開というのはなかなか衝撃的でした。
28日から毎日1公演ずつ公開となり、それぞれ3000円で1週間視聴することができるStreaming+(イープラスのシステム)での配信です。

 

基本的には各公演を丸々配信という形ですが、2週間以上という期間やイベントタイトルに合わせて、配信ならではの要素も盛り込まれていました。
全曲はありませんが、ライブパートの各楽曲にエフェクトが加えられ、単なる撮って出しではなく映像作品として楽しめるようになっていました。
ハニプラはライブバトルの演出を思い起こさせるような可愛らしいエフェクト、逆に2_wEiはMotherの目を掻い潜って配信しているかのようなノイズが入るなど、各ユニットの文脈に合わせた演出となっており、リアルではなく配信であることを逆手にとった映像は無観客を中心とした配信ライブ全盛期となった今も意外とやられていない手法でとても新鮮でした。
ライブ感を損ねる演出ではなるのかもしれませんが、どうせライブと配信は別物なのだから、と割り切ってしまうのも一つの手段だと思いますし、個人的にはより面白い映像になるのであればこの方が楽しいと感じました。

 

全ての楽曲にコメントしたいところではありますが、まだ視聴可能なコンテンツなので実際に見ていただくとして、個人的に目を引いたのは最初にディレイ公演のエフェクトとして目に飛び込んできた「Boyfriend」の振り付けに合わせたネオンカラーのものです。

これはおそらく、BLACKPINKのライブ映像にファンがエフェクトを後付けして、当時少しバズっていた映像が元ネタでは無いかと思うのですが(「BLACKPINK SWALLA EFFECT」で検索すると出てくると思います)、こんなライブ映像になったら面白いだろうなーと思っていたのでまさかそれを公式に自分の推しコンテンツで見れることになるとは、長生きしてみるもんですね…。


こうして従来の「配信ライブ」の概念に囚われない自由なディレイ配信を見終わったところで、会場同様レーザー照射風の演出で掲示されたのは以下のメッセージでした。

 

 Space, Position, Imagination
 Liberty ONLINE.

 

…さて、この面白い取り組みをしているディレイ配信ですが、こちらからまだ見ることができます!

第1部(ハニプラ昼の部)

第2部(2_wEi)

第3部(ハニプラ夜の部)

初見の方には正直ハニプラの前半クイズパートはしんどいかなと思ったりもするのですが(知性枠がいない)、各回3,000円(税抜き)とお手頃なので週末の時間潰しなどにいかがでしょうか?

 

 

【これから】

8 beat Story♪君はコロナ禍でのイベント運営に腹を括ったのか、出来ることとそれに対する反響のバランスの見極めができたのか、来月にも早速この人数を絞ったリアルイベント+ディレイ配信という形式のクリスマスイベントを開催予定です。

 

8 beat Story♪ Christmas Special Event & LIVE 2020

 

また、今年開催・ソフト化されたライブイベントの映画館での上映イベントも、ハニプラ・2_wEiそれぞれで開催予定となっています。

 

2_wEi LIVE Blu-ray 発売記念!「8 beat Story♪ 2_wEi 2nd LIVE Final」一日限りのスペシャル上映回&トークショー

8 beat Story♪ クリスマス・イベント!「8 beat Story♪ 8/pLanet!! 5th LIVE」一日限りのスペシャル上映回&トークショー

 

このご時世で普通のイベントが実施しづらいライブハウスや大作映画などの上映がストップしている映画館など、今からでも場所を押さえやすい状況であると思いますが、ここにきて急にイベントが元気になってきた感がありますね。

コンテンツの楽しみ方にもまた幅が広がったようにも感じ、必死にならなくてもそれぞれの方法で摂取できる状況は実のところ嬉しいと思う面もあります。

 

本来であれば、ライブ・アプリのストーリー・楽曲などが互いに関係する大きな展開が用意されていたと思われ、それ故今年は本筋は一切動かせないような状況となってしまっています。それでも、このピンチにここまで独自に面白い動きを見せてくれた8 beat Story♪だからこそ、しっかり時間をかけて作戦を練り直し、2021年以降に本来の予定以上に面白いものを見せてくれることを期待しています。

明日エビストのイベントですが、Saint SnowのPV見たのでその話です

みなさん、こんばんは!

8 beat Story♪ 非公式webオンリーイベント「先生!webオンリーはじまっちゃうよ!」ではお楽しみでしたね。よくよく考えたらこちらでもお知らせをしておくべきだったのですが、会期中に結婚したり異動になったりとプライベートが尋常ではない激動ぶりだったのでお久しぶりです、ということになってしまいました。

それでも、想定を超える大変多くのみなさんに本を手にとっていただきましたこと、誠にありがとうございます。またいつか、世界観を楽しむ一助になるような提案ができるよう、妄想し続けていきたいと思います。

 

いよいよ今週末にはエビストのイベント「ONLINE ≠ REAL」が開催されます。リアル会場での実施とディレイ配信の二段構えの構成を前提としたこの企画は、新型コロナウイルス流行による6thライブ中止を受けた代替イベントでありながら、奇しくもエビスト初期のキャッチコピーである「バーチャル、リアルで輝く音楽を目指して!」とリンクする壮大な伏線回収としての側面も持ってしまい、大注目ではあるのですが、企画の全容が見えていないため、ディレイ配信を視聴した上でリポートしたいと考えています。

 

 

さて、今回は先日ようやく拝見したSaint Snowの1stシングル「Dazzling White Town」のPVの件です。

試聴動画の段階でも感じていたことですが、ラブライブのPVとして原点に返ったかのような構成であるとともに、Saint Snowが「Aqoursのライバル」として改めて立ち上がるための楽曲だと感じたので、個人的な記録として感想を残しておきたいと思います。これはすべて私見であり憶測です。

 


【試聴動画】ラブライブ!サンシャイン!! Saint Snow 1st シングル「Dazzling White Town」

 

まず「原点とは何か」というところですが、これは勿論、μ's(リリース当時「ラブライブ!」名義)の1stシングル「僕らのLIVE 君とのLIFE」です。楽曲も映像の方向性もまるで違うように見えるこの2曲ですが、「アニメの中のキャラクターが歌って踊るシーンを切り取った映像」ではなく「二次元アイドルのミュージックビデオ」としてつくられている点が共通していると思います。

 


【MV Full】µ's 1stシングル「僕らのLIVE 君とのLIFE」【スクスタリリース記念!】

 

このPVが初期AKB48のMVへのオマージュに溢れている点なども含め、特色については過去のエントリーでもお話しています。

ohmameazuki.hatenadiary.com

その後、TVアニメ化と共にラブライブ!とそのキャラクター達は具体的な物語を確立することで、アニメの世界観の住人になっていきました。TVアニメ内でも新たな楽曲を歌い踊るシーンが登場することで、PVとTVアニメの垣根は低くなり、ラブライブ!シリーズのPVは「ラブライブ!シリーズのPV」という独自のジャンルに進化を遂げ、TVアニメのスピンオフ映像的な色合いが濃くなりました。

その究極系ともいえるのが「未体験HORIZON」「A song for You! You? You!!」ではないでしょうか。

 

一方、「Dazzling White Town」については最初と最後にTVアニメの延長線上の物語が描かれているものの、「Smooth Criminal」のパロディから始まるPV本編では、Saint Snowのこれまでの物語や鹿角姉妹の関係性から切り離された、ダンスやイメージカットが主体の独立した映像作品になっています。

2次元アイドルの楽曲についてはよく、「不特定多数に発信している存在なのにその内容が所謂キャラソンなのは不自然なのではないか」という議論がありますが、その観点から見ても、バックボーンとして存在するTVアニメ2クール・劇場版1作で築いてきた物語ありきではない本作は、何もバックボーンがない時代に制作された「僕らのLIVE 君とのLIFE」と同様、「まだ彼女達を知らない存在に向けて作られた」デビューシングルに相応しい映像と感じました。

 

 

また、楽曲やPVの方向性も新鮮でした。

これまでのSaint Snowといえば、バンドサウンドを前面に押し出した楽曲でしたが、本作ではK-POPを思わせるダンスナンバーとなっています。カップリングにはこれまでの方向性の楽曲も収録されていますが、あえて1stシングルにこの曲をもってきたのは、改めて「Aqoursのライバル」としてデビューするためには必要なことであったと感じます。

 

μ'sのライバルユニットである「A-RISE」は当初アニメが1クール完結想定だったこともあってか、「超えるべき壁」としてのわかりやすい舞台装置という役割が与えられており、そのキャラクターや楽曲も、現実のアイドルというよりはアニメ的な文脈での「強キャラユニット」というイメージで作られていました。

一方のSaint SnowはA-RISEと差別化され「競い合うライバル」というポジションとなっています。そして、ひたむきな正統派ユニットとして描かれるAqoursと対になるために与えられたのが、「ストイックでアーティスト志向が強いユニット」という方向性です。

 

この方向性に大きく影響を与えたのは、BABYMETALではないかと思います。

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理亞役の佐藤日向さんと同じ「さくら学院」をルーツに持つこのアイドルユニットは、ラブライブ!サンシャイン!!展開初期である2010年代中盤において世界的人気を誇っていました。前年に公開された「Wake Up, Girls! Beyond the Bottom」にも、Saint Snow以上にBABYMETALを意識したユニット「ネクストストーム」が登場しています。 

 

しかし、登場から5年近い時間が流れ、元ネタがあまりにもハッキリとしたコンセプトのユニットであることもあり、半ば一発ネタであったネクストストームと違い長期展開していくのは難しい方向性であったのも確かです。その結果、逆に稀代の名曲である「Believe Again」や伝説のアメポリ座の聖衣衣装が誕生したりするところは運命の巡り合わせの面白さを感じてしまうところですが…。

 

さておき、アニメの物語をひと段落させ、新たな道を切り開いていくアクアの「ライバル」というポジションで改めてスタートを切るためには、「今」正統派アイドルに立ちはだかる存在は何なのか、初見の新規ユーザーにもわかりやすく、説得力のある個性を再付与する必要があります。そこで選ばれたのがK-POPだったのだと思います。

 


BLACKPINK – ‘Lovesick Girls’ M/V

 

BLACKPINKやBTSは韓国・日本での人気に留まらず今や世界で一番人気のあるアイドルユニットといっても過言ではありません(アイドルの定義にもよりますが…)し、その楽曲は邦楽アーティストにも大きく影響を与えています。アメリカ製のゲームであるリーグ・オブ・レジェンドのプロモーションでも「K/DA」というバーチャル K-POP アイドルが楽曲をリリースしています。

 


K/DA - POP/STARS (ft. Madison Beer, (G)I-DLE, Jaira Burns) | Music Video - League of Legends

 

時代に合わせてアップデートされた「Aqoursのライバル」としてのSaint Snowは、TVアニメのライバルキャラクターから二次元アイドルユニットとして生まれ変わったようにも感じます。新型コロナウイルスの影響も大きく、思うように動けない状況が続いていますが、Aqoursと共に新たな地平線を見せてくれることを楽しみにしています。

 

 

ここまで書いていて全然触れていないことに違和感を覚えた方もいらっしゃるかと思いますが、実のところ「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」については前述の通りプライベートがあまりにバタバタしていたこともあり、映像展開を一切追えてない状況です。

Saint Snow以上にスタッフなど革新性のある作品がどのようになっているのか、非常に注目しており、今のうちに「ニジガクってうたプリじゃん!」という妄言を投げておきたいので早く見たいと思います。

2_wEi 2nd Finalの感想のつもりがB.A.C怖いねになってしまったメモ書き

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一連の動きが落ち着いたのでメモ書き。

なんだか世の中大変なことになってきてますが皆様いかがお過ごしでしょうか。。。

 

【前回までのあらすじ】

ライブバトルを棄権したことでMotherの怒りを買った2_wEiはその支配から逃れるためSotFの研究施設から脱走する。逃走中に発生したバグや怪我によってその活動に限界を迎えた2人は「想いを歌う」という自分たちの根底にある願いに辿り着く。これまでの活動を通じてSotF職員を始めとした人間にその音楽を愛される存在となった2_wEiは命を救われ、過去の絶望も全て背負った上でMotherの目の届かないところで音楽活動を続けることにする。

 

【Silent World】2020.02.07


Silent World【8 beat Story】【B.A.C】

その姿と名前だけが明かされていたB.A.Cの最初の楽曲が公開され、音楽の終末と音のない新世界(メインストーリーで語られてきたMotherが君臨する未来)をもたらす使徒であることも明らかになりました。まあその点についてはなんとなく想像通りではあったたんですが。。。

エモーショナルなバンド楽曲だった2_wEiから一転、打ち込みでコーラスのついた荘厳な楽曲になっているのが特徴(マトリックスNavrasが参考にされているとのこと)です。エビストの各ユニットの楽曲はなんとなくその立ち位置や思想に則って音楽性が設定されている印象が強いですね(唯一のヒューマンサイドである8/pLanet!!だけが多種多様なジャンルで自分ごと以外の歌詞を歌えるというのも含めて)。

 

【Pious Bullets】2020.02.21


Pious Bullets【8 beat Story】【B.A.C】

Silent Worldのフルサイズリリースの翌日、アプリに新曲がやってきました。名刺がわりといった感じの1曲目から一転、非常に攻撃的な楽曲ですね。歌詞については相変わらず愚かな人間は神に従えというものですが、より実力行使感が出ているのが特徴ですね…アプリではバグなのか後述のストーリーに沿ってわざとなのか、全然スコアが取れないというしんどい曲でした。。。

 

【サイドストーリー第1章「さあ 目覚めなさい」】2020.02.21

Pious Bulletsとあわせて公開されたサイドストーリー。以下簡単にあらすじ。

20XX年。Motherの望む音のない未来に辿り着いたアモルは喜びの涙を流す。音のない世界は誰も歌わないだけでなく話さず笑わないが皆が幸せそうである(と、アモルは感じる)。

そして2032年(ついに年が明けた!!)、アモルが起動。残りの2人の起動を待たずにライブバトルに参戦し、あっという間に5ユニットに勝利する。突然帰国しその様子を目の当たりにした彩芽の兄は、俺こと先生に電話で警告する(そういう仲なんだ…)。

彩芽兄をして「Motherそのもの」と評されるB.A.CことType_IDは「人類の救済」を共通の使命とし、ライブバトルもあくまでその手段としか考えていない。

全員が起動したB.A.Cはライブバトルを挑んできた人間を完膚なきまでに叩き潰した後、その教義を説き、「新しい音楽」を聞かせることで自らの信者とする(実験中の「あれ」というのがこれなんでしょうか)。

「我々には過去も未来もない」という2_wEiとは対照的なB.A.Cはたとえ誰かが欠けたとしても、「音のない世界」を実現することを誓うのだった。

 …正統派の好敵手といった感じだった2_wEiに対して、B.A.Cは一筋縄ではいかない幹部クラスの強敵だな、という印象です。「過去も未来もない」という発言や「自分が今、起動した」と知覚するシーンを見るに、時間に対する感覚が人間やこれまでのアンドロイドとは異なるのかもしれません(思い出とかそういう概念の話かもしれませんが)。

真の目的は別にあって、ライブバトルはそれを達成するための手段に過ぎないというのは実はひなたと同じ(Motherに音楽の素晴らしさを伝えるためにライブバトルで勝ち上がる)で、後述する主張を含め倒すべき相手としてかなり難敵なんじゃないかと思います。

「人間の音楽は消えるべきノイズ」という語り口はいかにも敵対すべき悪という感じなのですが、実際に人間に接する時の主張は「この手の作品でそれを言ってしまうのか」という人によってはマジで刺さるものになっています。

・美しい音楽に感動するのは一時的な感情に過ぎない

・人間はその一時的な感動の中毒患者である

・何故ならば、美しい音楽の裏側にあるのは過激なまでの競争社会だからだ

・この小さなステージという目の前の僅かな幸福を守るために何を犠牲にしてきた?

・本当はその苦しみを楽しい、素敵という言葉で誤魔化していないか?

・我々が代わりに信じるに値する新たな音楽を奏でる

・お前たちが苦しむ必要はもうない。我々が全て受け止めるのだから

…感動する音楽を奏でるために過酷な競争社会に身を置き、その苦しみから逃れるために一時的な感動に縋っている悪循環。ここから人間を救済した結果辿り着くのが「音のない世界」なんですって。「音楽が蹴落とし合う道具になる」という点はひなたも思い悩んだ部分だったと思うんですが、同じような命題からこういう結論に至るキャラが出てくるんだ、というのと共ににあまりにも「小さなステージに立ち続けるために色んなものを犠牲にしている」沢山の表現者に残酷なメッセージであり、それを8 beat Story♪という作品が告げてくるという恐ろしさ。

「どんな試練や苦難があっても、その先に感動を与えてくれる音楽は素晴らしい」というのが数多の作品で語られ我々も抱いている「こたえ」だと思うんですが、「そのエモさというやつ、これまで積み重ね今後も払い続けるあらゆる犠牲から目を背けるための口実では?」と言われてますからね…2_wEiが登場した時の「人間の専売特許だと思った感情のこもった歌を人間以上に繰り出してくる敵にどう勝つのか」という緊張感とはまた違う、イデオロギーの衝突ですよ。

そうこう言ってる間も無く、ライブが幕を上げます。

 

【 2_wEi 2nd LIVE Final 「Past 2 Present, Stand for the Future.」】2020.02.22

01. MIЯROR

02. Jailbreak

03. Numb

04. LOVE HATE

05. Green Cat.

06. basement

07. Bite a bit(虎牙ミント)

08. Lost in data

09. Pendulum

10. MMIX

11. Homeache

12. Be alive

13. Silent World(B.A.C)

14. Pious Bullets(B.A.C)

15. UNPLUG

16. Heroic

17. REGALIA(虎牙アルミ)

18. Heart 2 Heart

19. Pain - pain

20. Despair(encore)

21. Inheaven(encore)

22. Start the War(encore)

 世間が新型コロナウイルス拡散防止のためのイベント自粛ムードに差し掛かり始める中、本当に滑り込みで開催されたライブ。めちゃくちゃいいイベントだったのですが、言いたいことが詰まっている感想がすでにあったのでそちらを紹介させていただきます。

cemetrygates1919.hatenablog.com

もはや参加型アトラクションや客席のない舞台演劇のようになってきた2_wEiのライブですが、危惧されていたB.A.Cとの直接的な衝突は回避されるなど、あくまで単体の「ライブとしての」楽しさ・面白さが損なわれないよう構成されているなと改めて感心しました。エビストは「コンテンツには色んな切り口のファンがいる」ということに運営も自覚的で、集大成的な立ち位置にあるライブイベントは色んなファンの合流地点にあたるのでこのバランス感覚が非常に重要なんだと思いました。

一方で、B.A.Cの信者一号役だった声優さんがB.A.Cグッズの物販やってたりするシンクロ具合があったり(僕もうわ言のようにアモル様のアクキーをお買い求めしました…)ここにきて優衣のことを「大好きな人」と語るアルミみたいな、ここまで追ってきたからこそグッとくるMCがあったりとまさにこの2年間が詰まったようなイベントでした。

 

何より、こんな顔して出てきた虎牙姉妹が

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こういう笑い方が似合うようになったことが、2年間の物語として素晴らしかったです。

 

そして乱入してきたB.A.C。

前回「2_wEiがハニプラのライブに乱入した時だけキャラ準拠衣装だったのはあそこがハニプラのステージであるBit空間だから」と言ってたのにめちゃくちゃかっこよくて凝った衣装で現れてどうしようと思いましたが、あの人たちストーリー中も渋谷をあの格好で歩いて「変な服装」と言われているので常にあの衣装で活動しているんでしょう、多分。

B.A.Cはどんな乱入を果たすのか、2_wEiとバチバチなのか?と思っていたのですが、実際にはストーリー中での信者づくりと同様、いやそれ以上に友好的に語りかけてくるのでした。

・私は君たちと同じ音楽を愛する「同志」である

・この世界は人気がなくなれば捨てられサービス終了する不平等で残酷な世界だ

・私はこの不平等な世の中を変えたい

・我々と共に立ち上がろう。君たちはきっとまた私たちの音楽が聞きたくなる

 ストーリー中と微妙に違うことを言ってたな、と思ったのですがこれは語りかける対象が「実際に競争社会に身を置くもの」か「それを応援し見守るもの」の違いなのかな、と思いました。そしてより「音楽の熱狂的な中毒患者」である後者には決して、その革命の先にあるのが「音のない世界」だとは言わないあたり本当に巧みだと思います。

理知的にその理念を語るアモル様、高圧的ながら愛を語るM気質には堪らないクゥエル様、そしてヤンデレ的ではあるが「友達だよね?」と問いかけるベルたそと三者三様のやり方で信者を生み出そうとしてくるType_ID、こわすぎる。初めて来たのでステージに向けてキャストの名前を叫んじゃうオタクに対しても「何言ってるかよくわからんが声援ありがとう」という感じであしらうの、強すぎる。そして言葉通りMC後のPious Bulletsでその音楽の虜にしてくるの、有言実行過ぎる。

 

 この2年間、ハニプラは色々な事情もあってあまり活動が思うようにできないところがありましたが、その裏で2_wEiがライブ活動を続け曲とファンを増やし続けていたことは、まるでストーリー中の2_wEiの躍進と追い詰められるハニプラに重なるようでした。

3月12日現在、ハニプラは新情報が止まっている状況です。そして世間は疫病と戦うために続々とライブイベントが中止になり、世の中から音楽が奪われているかのような状況です(一方で、無観客ライブ配信というやり方が急速に一般化しつつあり、ライブバトルのような、バーチャルなライブ鑑賞も当たり前になる時代が目前に迫っているように感じます)。この状況を「もってるぜ」というのは流石に不謹慎が過ぎるのですが、困窮する「人間の音楽」の前に現れた「救済者」B.A.Cはこれからどんな活動をしていくんですかね…そして頑張ってくれ、8/pLanet!!

いよいよ今週末!8 beat Story♪のライブの方向性について振り返ってみました

なんというか色々とどうなるかわからん緊迫した状況ではありますが、まあそのへんこちらがウダウダ考えたところで何か変化があるわけでなし、いよいよ2_wEi 2nd Live Finalが今週末に迫ってまいりました。

既にB.A.Cには「Silent World」に続く2曲目の制作が明らかにされており、過去の2_wEiのライブ前後の展開(これとかこれとか)を思うとこれからなんらかの「みなさん、こんばんは!」が来るんじゃないかとビクビクしています。

 

それはさておき、エビニューのコメントなんかを見ているとB.A.Cきっかけで8 beat Story♪に触れるようになった方も結構いらっしゃるような印象があり、B.A.Cの参戦が決まっている2_wEiのライブに初めて行くという方もいらっしゃるのではないかと思いましたので、「エビストのライブってどんな感じ?」というのを簡単にご紹介出来ればと思います。

作品の簡単な紹介についてはこちらをご覧ください↓

ohmameazuki.hatenadiary.com

 

【ユニットについて】

8 beat Story♪は、近未来を舞台に人間とアンドロイドが音楽の未来をかけて衝突するストーリーで、劇中に登場するのと同様に、現在3つのユニットが活動しています。

 

8/pLanet!!:作品の中心でヒューマンサイド(人間側)の8人組ユニット

2_wEi:アンドロイド姉妹の2人組ユニット

B.A.C:アンドロイド・Mother陣営?の3人組?ユニット

 

3つのユニットの活動に唯一共通するのがエビストニュース、通称エビニューと呼ばれるニコ生で、こちらは先日ご覧いただいた方も多いのではないでしょうか。

エビニューに出演する、というところ以外は実は原則としてステージ上や画面内でキャストの共演がオープンにされていないのがエビストの特徴で(勿論、バックステージなどでは交流があります)、ライブイベントの方向性も人間側とアンドロイド側で大きく異なっています。

 

【8/pLanet!!】


【視聴動画】8beatStory♪ 8/pLanet!! 2nd Anniversary 4th LIVE 『On the pLaNET!!』[Blu-ray]

メインユニットであるハニプラは、2次元アイドル声優ユニットとして王道中の王道のライブ展開をしています。キャストは互いをキャラクター名で呼び合ったりすることもありますが、基本的には「中の人」として出演し、客席のファンもアプリ上でのプレイヤー視点である「先生」として呼ばれますが、役割というかファン名称を兼ねているという感じですね。

また、衣装もメインの8人揃いのものはライブ後にアプリ上のカードに逆輸入されるという特徴があるものの、各キャラクターを非常に強く意識したもの(時にはジャケットイラストのデザインを踏襲して)となっており、キャストがキャラクターを纏うことで一心同体となり、ライブを行っています。

これはアイマスラブライブを始めとした多くの2次元アイドル作品のユニットと変わらぬスタンスで見ることができる方向性かと思います。

 

【2_wEi】


【視聴動画】8beatStory♪ 2_wEi 1st LIVE 『Driven to Despair in TOKYO Final』[Blu-ray]

 

一方アンドロイド側のユニットである2_wEiは、一言で言えばハニプラとは逆に「キャラクターがキャストの肉体に宿る形で一心同体になる」ような方向性でライブを展開しています。

 

・ライブ中は終始、キャラクターとして振る舞い、中の人としての顔は見せない

・衣装はオリジナルで、アプリのイラストを直接反映したものではない

・ライブの内容が直前までにアプリで描かれたストーリーと地続きとなっている

 

そのため、MCも「◯◯役の××です」といった挨拶がないのは勿論、ストーリー展開に沿った内容となっており、どちらかというと「ライブハウスが舞台でめちゃくちゃ普通にライブもやる舞台劇」のような状態で、その方向性に応えて客席からの声援もキャスト名ではなくキャラクター名で上がるような状況です。

因みに客席のファン達は「人間の皆さん」と呼ばれており、これは別にアプリ上のプレイヤーの視点とは異なるのですが、我々も「2_wEiのライブの観客役」としてステージ上だけでなく、ライブハウス全体で一緒に物語を描いていくような構図となっています。

 

【B.A.C】

B.A.Cについては楽曲とキャラクタービジュアル以外、一切不明のためどのようなライブスタイルになるかはまだわかりませんが、取り敢えず、同じアンドロイドである2_wEiのライブに参戦するという形のため、2_wEiのそれに準じた表現で登場することになるのではないか、と推測されます。

また、キャストの皆さんがしきりに「キャラクターの振る舞いはあくまでキャラクターである」「キャスト間に対立はない」というようなことを発言しているあたり、ステージ上はあくまでキャラクターとして振る舞うだけでなく、想像通り「Motherに逆らったことでライブバトルを始めとした表舞台での音楽活動を制限されながら、人間達の助力でライブを行っている2_wEi」と敵対する存在として、2次元アイドルものとしては異例なほどバチバチした展開を見せられるのではないかと思います。

そのため、田中さん・菅沼さん・楠木さんの本人としての一面はステージ上で見られないかもしれませんが、声優・俳優としての生の演技を目にできる機会になるのではないか、と思われます。

 

【余談】

「運営の人もそこまで考えてないと思うよ」という個人的なハニプラ・2_wEiのライブ演出の方向性の違いについての見解というか妄想なのですが、

 

・ハニプラ

劇中:人間がBit空間というバーチャル空間にデータ化して飛び込むことで活動する

ライブ:キャストがキャラクターのビジュアルを纏うことでライブをする

 

・2_wEi

劇中:データとして生まれた存在が肉体を得ることで現実世界で活動する

ライブ:キャラクターがキャストという肉体を得ることライブをする

 

 …ということを常々考えていて、改めて2_wEiが唯一、アプリ上のキャラクターと同じ衣装を着ていた時のことについて再考察してみました。

2_wEiがキャラ衣装を着ていたのはハニプラ4thへの乱入時だけなのですが、よくよく考えたらあの場は8/pLanet!!のライブを行っている空間であり、それはすなわちBit空間だったので2_wEiも現実世界に即した衣装ではなくキャラクターのビジュアルで登場したのではないか、と考えました。

前提が完全な妄想なのでアレですが、これを踏まえると今後B.A.Cが単体で活動するとして、相手のフィールドに入り込む形となる今回の2_wEiライブへの参戦時とはまた違った形式(ARやVRを使用したものになるとか)が主体になってくる可能性もありますね!完全な妄想ですが!